【異次元】「少子化のワニの口」国民負担率が増えれば増えるほど、婚姻も出生も激減している30年
ニュース※荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
7/7(金) 9:05
立派なのは理念だけ
今年年頭の岸田首相の「異次元の少子化対策」発表以降、私は一貫してそれが的外れであることを指摘し続けていた。特に、児童手当のバラマキなど子育て支援一辺倒の対策では出生数は増えないことをずっと論じてきた。子育て支援は否定しないが、それを拡充しても出生数は増えないからである。
ところが、先月6月13日に内閣官房から発表された「こども未来戦略方針」の中では、3つの基本理念の第一に「若い世代の所得を増やす」というものが掲げられていた。これには全く異論はないし、その課題認識も間違っていないものだった。
以下、一部を引用する。
我々が目指すべき社会の姿は、若い世代が希望どおり結婚し、希望する誰もがこどもを持ち、安心して子育てができる社会、そして、こどもたちが、いかなる環境、家庭状況にあっても分け隔てなく大切にされ、育まれ、笑顔で暮らせる社会である。また、公教育の再生は少子化対策と経済成長実現にとっても重要であり、以下の基本理念とも密接に関連する。こうした社会の実現を目指す観点から、こども・子育て政策の抜本的な強化に取り組むため、今後、こども未来戦略会議において策定する「こども未来戦略」(以下「戦略」という。)の基本理念は、以下の3点である。
まさに、その通りで、子育て支援の前に、若者がこれから結婚して子育てをしていきたいと思えるような経済環境を整えることが第一なのである。
にもかかわらず、お題目は立派でも実際にやっていることは正反対で、社会保険料の増額や扶養控除の撤廃など次々と実質増税になる話ばかり。要するに、理念と真逆の「若い世代含めこれから子育てを担う世代の負担を増やす」ことをしているのだ。
まるで、社員採用ページに掲げた企業理念はご立派だが、実際従業員に対して過酷な労働環境を強いるブラック企業のようではないか。
国民負担の「ワニの口」
繰り返しこの連載でも書いている通り、出生数の減少は根本的には婚姻数の減少である。そして、婚姻数の減少は、決して「若者の結婚観の変化」などというものではなく、1990年代以降30年に渡って続いている若者の経済環境の停滞である。
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