「野球に嫌なイメージがあるのかも」 元プロ選手が語る“競技人口激減”の理由
ニューススポーツfull-count 8/4(金) 7:50
オリックスなどでプレーした大引啓次氏、自身は中学から硬式でプレーした
オリックスと日本ハム、ヤクルトで主に遊撃手として活躍した大引啓次氏は、中学時代に硬式の「住吉大和川シニア」でプレーした。自身は早くに硬球になじめたという利点を感じる一方で、少年少女の指導にも関わる現在は「硬式球に触るのを焦る必要はない」という思いもあるという。なぜそう考えるに至ったのだろうか。
大引氏は小学校では軟式の「大阪ゴールデンファイヤー」でプレー。当時は遊撃と投手を兼任していた。そして中学に進む時に「住吉大和川シニア」で硬球を握るという選択をした。プロで通算1288試合出場、1004安打を放つ礎となった時代だ。「自分にとっては良かったと思います。生半可な練習量じゃなかったですし、体力もついた」。特にヘトヘトになるまで走っていた日々は、プロ野球選手へのレールを敷いてくれたという。
「タイムを切らないと終わらないんですけど、責任を持ってやり切る、毎日限界を超えるという習慣は身についたと思います。食らいつく『根性』にも、大切な部分はあると思うんです」
一方で、少年少女の指導をしていると、別の思いもある。「焦る必要はないと思うんです。慌てて硬式をやる必要はない。固い、痛いものを体で止めろとなると、野球がいやになる子も出ると思うんです」。軟式野球の利点も分かるという。「軟式独特のバウンドとかを柔らかく止めるとなると、動きも固くならない」。
野球を「子どもたちがやりたいスポーツに」
何より大切なのは、野球を嫌いにならないことだ。大引氏は、元西武の石毛宏典氏の言葉が頭に残っている。「子どもたちに『野球を選んでくれてありがとう』と。本当にその通りだと思います。野球を嫌いにならないように、やって良かったなと思ってほしい。これが全てではないでしょうか」と力説する。
野球人口の減少が叫ばれる今、その原因は数世代前にあったのではないかと考えている。「我々くらいの世代が親になって、野球に嫌なイメージがあるのではないですかね。グラウンドで怒られるとか、怒鳴られるとか。そうなると子どもにやらせようとは思いませんよね」。大引氏は現在39歳。教えている子どもたちの保護者の気持ちがわかる。
「野球は楽しいんだよという原点に立ち返りたい」という。子ども自身が野球を好きで、うまくなりたいという向上心があれば自然と伸びていく。「子どもがやりたい、やらせたいスポーツにしないといけませんね」と、力を込めた。
羽鳥慶太 / Keita Hatori
オリックスなど3球団でプレーした大引啓次氏【写真:羽鳥慶太】
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